コンピテンシー評価とは?メリットや導入方法は?
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コンピテンシー評価とは?メリットや導入方法は?
人事評価の新たな手法として注目されているのがコンピテンシー評価・MBO評価・360度評価ですが、今回はその中から「コンピテンシー評価」についてまとめてみました。
コンピテンシー評価とは
コンピテンシー(competency)は「能力」という意味ですが、ビジネス用語としては「素晴らしい成果を発揮しているハイパフォーマーの行動特性」という意味で使われており、コンピテンシー評価とはそのハイパフォーマー(仕事で高い成果を上げている人材)の行動特性を明確にし、評価項目を分類して指標を定めることで評価を実施する評価手法のことを言います。
この行動特性には、行動そのものだけでなく性格や思考パターンなどの動機的特徴も含まれます。
コンピテンシー評価の歴史
コンピテンシー評価の語源となっているコンピテンシー(competency)という言葉は、1950年代に心理学用語として生まれ、ハーバード大学のマクレランド教授が1970年代に行った調査をきっかけに人事用語として知られるようになりました。
マクレランド教授によって提唱されたコンピテンシーという能力概念を、弟子にあたるリチャード・ボヤツィスらが実用可能な形にまとめて、1990年代のアメリカのビジネスシーンにおいて導入されるようになりました。
日本でコンピテンシーが導入されるようになったのは1990年代の終わり頃のことで、その後導入する企業は増加傾向にあります。
コンピテンシー評価と職務遂行能力評価の比較
コンピテンシー評価とよく比較されるのが日本の企業の多くがこれまで採用してきた職務遂行能力評価(職能資格制度)です。
コンピテンシー評価 | 職能資格制度 | |
---|---|---|
評価する能力 | 行動に結びつく性格や思考パターン等を含めた結果としての「総合的な能力」 | 能力・スキル・知識・性格など「単独の能力」 |
評価の基準 | 具体的・実証的・実例的 | 希望的・抽象的・曖昧 |
コンピテンシー評価はハイパフォーマーの行動から抽出した能力を基準としているため、評価の基準や求められる能力が極めて具体的かつ総合的なものになるという特徴があります。
コンピテンシー評価と職務遂行能力評価のメリットとデメリット
コンピテンシー評価 | 職能資格制度 | |
---|---|---|
メリット | ・評価に納得しやすい ・適材適所の実現(人材マネジメントの容易化) ・能力開発(=人材育成)しやすい ・評価の容易化 | ・長期的視点での人材育成に適する ・人事異動、組織改編しやすい ・ゼネラリスト育成向き |
デメリット | ・制度導入の負担 ・コンピテンシー把握のためのヒアリングが必須 ・改訂、メンテナンスの負担 | ・人件費が高くなる ・年功序列の評価になりがち |
コンピテンシー評価のメリットとしては、人事評価制度において非常に重要度の高い社員の「納得」を得られる点や、戦略的人材マネジメントの行いやすさなどが挙げられますが、一方で、制度の導入にはコンピテンシーを把握するために正確なヒアリングを社員に実施しなければならなかったり等、ある程度の負担が生じてしまうというデメリットもあります。
コンピテンシーモデルのタイプ
コンピテンシー評価の基準となるモデル(ハイパフォーマー)を設計する方法として3つのタイプがあります。
①理想型モデル
企業にとって理想的な人物像をイメージしてモデルを設計します。
②実在型モデル
企業に実在するハイパフォーマーを参考にして設計します。但しそのハイパフォーマーの行動特性に再現性があるかどうか、参考にするか否か、検討する必要があります。
③ハイブリッド型モデル
企業に実在するハイパフォーマーをベースにして、企業にとっての理想的な人物像を補完して設計します。
コンピテンシー評価導入の流れの例
ハイパフォーマーの抽出
社内のハイパフォーマー(仕事で高い成果を上げている人材)を選ぶ上で、事前に「高い成果」とは何を指すのか、企業として何を持って成果とするのかを定義・共有しておくことが重要です。
インタビューの準備・実施
ハイパフォーマーにインタビューを行い、成果に結びついている行動特性を特定します。また標準的な成果を残している社員と比較することで、ハイパフォーマー特有の行動を抽出することが可能となります。
コンピテンシーの抽出
インタビューから得た特性がコンピテンシーとなり得るか検討・特定します。
企業戦略・ミッション・ビジョンとのすり合わせ
特定されたコンピテンシーが、企業の経営戦略やビジョンと合致するかどうかを確認します。
テスト・調整
評価の基盤が出来上がったら、テスト評価をくり返し行い、評価基準の適・不適をテスト・調整していきます。
また、既存の等級制度との整合も図ります。等級制度・賃金制度等各制度との連携を強めつつ、企業にとって最も良い形の評価制度を模索していきます。
コンピテンシーディクショナリの整備・見直し(適宜)
コンピテンシーディクショナリは、短期的視点で、時代や経営環境の変化とともに常に改編していくことが求められます。何か変化が生じた際は見直しを行い、コンピテンシーのマッチングを行うことを忘れないようにしましょう。
まとめ
このページでは人事評価の新たな手法として注目されている「コンピテンシー評価」についてお伝えしてきました。
- コンピテンシー評価とは
- コンピテンシー評価の歴史
- コンピテンシー評価と職務遂行能力評価の比較
- コンピテンシー評価と職務遂行能力評価のメリットとデメリット
- コンピテンシーモデルのタイプ
- コンピテンシー評価導入の流れの例
コンピテンシー評価は上手く導入すればメリットが多い評価制度ではありますが、導入が難しく多大な時間と労力が必要になるので、制度の導入で失敗しないためには専門家の活用を検討するのも一つの手だと思います。
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