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似てるけど違う?人事考課と人事評価の違いとは?
人事評価と人事考課、この2つの言葉はほぼ同じ意味合いとして使われている場合が多く、検索して調べてみても多くのサイトやブログで同じ意味として扱っていますが、実際のところはどうなのか、何か違いはあるのか、使い分ける必要はあるのか、人事考課と人事評価の違いについてまとめてみました。
人事考課(人事評価)とは
人事評価(人事考課)とは、定められた期間の中で従業員の仕事状況や成果、会社に対する貢献度、能力などを一定の基準で公平に評価することで、その評価結果から従業員に対して適切な処遇を行う(昇格や昇給に反映させる)ことを目的とした仕組みが人事制度(人事評価制度・人事考課制度)です。
人事考課(人事評価)の歴史
戦後の日本企業においては長らく「終身雇用制度」を採用していて、給与に影響を与えるのは「勤続年数」と「役職」だけでしたが、1990年代のバブル崩壊によって経済成長がストップして「失われた10年」と呼ばれる時代に突入します。
この時代に登場したのが、勤続年数や役職ではなく従業員個人の業績や成果を給与に反映させる「成果主義」です。多くの日本企業が経営の見直しと立て直しを行うために「成果主義」を導入しました。
しかしながら、チームワークや仲間との助け合いという日本企業の美徳や企業風土が成果主義を導入したことにより支障をきたし、成果主義の弊害が目立つようになりました。
そこで成果や業績だけでなく能力や行動も加えた二段構えの評価を行うようになり、その方法が定着して現在のスタンダートな評価方法になりました。
また、新たな手法としてコンピテンシー評価・MBO評価・360度評価などの導入も始まっています。
人事考課と人事評価の違い
もともと日本の多くの会社では「人事考課」という言葉が正式名称として使われていまいたが、時代の移り変わりの中でわかりやすい言葉として「人事評価」という言葉が使われ始めたという経緯がありますので、多くの企業において2つの言葉は同様のものとして捉えられており、使い分けがされていないことが多いです。
「人事考課」と「人事評価」を辞書で調べてみると
人事評価と人事考課という2つの言葉はビジネスシーンにおいて普通に使われており、世間一般でも浸透している言葉ですが、実はこのうち1つは辞書(日本語辞典・国語辞典)に載っていないということをご存知でしょうか?
辞書名(出版年) | 「人事考課」 | 「人事評価」 |
---|---|---|
日本国語大辞典(1974年) | 〇 | ✕ |
実用新国語辞典(1985年) | 〇 | ✕ |
日本語大辞典(1989年) | 〇 | ✕ |
広辞苑 第五版(1998年) | △ | ✕ |
広辞苑 第六版(2008年) | △ | ✕ |
広辞苑 第7版(2018年) | △ | ✕ |
辞書別記載有無(2020/02/13調べ)
△…「人事」項目内にて説明あり
「人事評価」という言葉はどの辞書にも載っていなくて、逆に「人事考課」という言葉はどの辞書にも載っていました。
もともと「人事考課」という言葉が正式名称として使われていたというのも、この辞書への掲載状況から見ても明らかです。
ちなみに辞書に記載されている「人事考課」の意味をまとめると下記になります。
【人事考課(じんじこうか)】
従業員が業務遂行に発揮した能力や、従業員の成績・態度を評価し、その人の処遇に反映する制度。給与査定や人事決定の資料となる。
能力判定。能力考課。勤務評定。
personal appraisal, assesment of work performance
「考課」と「評価」を辞書で調べてみると
人事考課と人事評価だと「人事評価」が辞書に載っていませんでしたが「考課」と「評価」という2つの言葉を辞書で調べてみたところどちらも辞書に載っていました。
【考課(こうか)】
①律令管制上の語。各官庁の長官が毎年部下の執務態度・品行などを調べて、上上から下下までの九等級に判定し、上申した。
②養老令の編名。官吏をその執務成績・操行・才能によって評価すること。
③軍人・官吏・学生などの成績・操行・学業を調べて報告すること。また、銀行・会社の営業成績を調べて報告すること。
evaluation, rating, evaluation of service
【評価(ひょうか)】
①品物の値段を決めること。その価格。
②善悪・美醜・優劣などの価値を決めること。
③人・物事の価格・価値を決めること。
④学習の効果・到達度を判定すること。
appraisal, evaluation
「考課」は歴史が関係するくらいかなり昔からある言葉で「評価」は最近の言葉ということがわかります。
結論!人事考課と人事評価の違いとは
いろいろと調べてみた結論として人事考課と人事評価の違いは「人事考課と人事評価という2つの言葉に大きな違いはないが、人事評価制度の方がより大きな概念で、その中に人事考課制度が含まれている」というものになります。
また、レイティング(ランク付け)を行う人事評価制度のことを「人事考課制度」と表現する場合があり、その場合はノーレイティングのことを人事評価制度と表現しています。
人事評価
従業員が会社の経営理念や方向性に沿った行動や成果を出しているかを評価して、昇給・昇格だけでなく人材育成・能力開発・配置転換などの指標としても利用すること。
人事考課
従業員個人の成果や業績、会社への貢献度や能力を評価して、昇給・昇格など人事面における処遇を適切行うこと。
まとめ
このページでは、多くの方が同じ意味として捉えて使っている人事考課と人事評価の違いについてお伝えしてきました。
- 人事考課(人事評価)とは
- 人事考課(人事評価)の歴史
- 人事考課と人事評価の違い
- 結論!人事考課と人事評価の違いとは
人事考課と人事評価どちらも従業員一人ひとりを適切に評価するために必要な制度ですが、時代の変化と共にさまざまな制度が登場して昔ながらの制度が大きく見直されている、現在は人事評価の過渡期と言える時代です。
なんでもかんでも新しい制度が良いわけではありませんので、自社に合った適切な人事考課制度(人事評価制度)について改めて考えてみても良いかもしれません。
おまけ(用語説明)
MBO(目標管理制度)評価
個人もしくはチームで目標を設定してその達成度で評価する制度です。
コンピテンシー評価
社内で優秀は成果を残す従業員の行動特性(コンピテンシー)をもとに評価する制度です。
360度評価
直属の上司や役員だけでなく、同僚や部下、取引先や顧客など多面的に評価する制度です。
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