広島県|令和6年度 新規学卒者の初任給と内定率から人事課題を読み解く

コンサル業務日報

広島県|新規学卒者の初任給について

(単位:千円)

年 度広  島 ・ 広 島 東広 島 県
高校卒短大卒大卒高校卒短大卒大卒
令和5年度182197216183194216
令和6年度188204226191202225
上 昇 額6 3.3% UP7 3.6% UP10 4.6% UP8 4.4% UP8 4.1% UP9 4.2% UP


令和6年度の新規学卒者の初任給情報(参照:厚生労働省)がリリースされました。

令和5年度は前年に比べ、比較的緩やかな上昇でしたが、練和委6年度については各対象で大幅な引き上げとなりました。

日本商工会議所が公表している令和6年度の正社員における賃上げ率は「3.62%」であり、概ね、初任給の上昇率も同程度となっていることから、既存社員と合わせた初任給水準の引上げが行われた結果となりました。

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広島県|新卒予定者の内定率について

 高校大学等計専修学校高等専門短期大学大学
就職希望者2,229人 ▲146人13,714人 ▲487人2,974人 +9人225 +16人527 ▲30人9,988人 ▲482人
就職内定者2,203人 ▲144人13,236人 ▲405人2,862人 +37人225 +18人498 ▲46人9,651人 ▲414人
就職内定率98.8%96.5%96.2%100%94.5%96.6%
求人数10,921人 +1,089人–     


初任給に合わせて、4月に公表された新卒予定者の内定状況(参照:広島県労働局)を確認してみます。

高卒の内定状況

就職希望者:6年連続で前年同期比を下回り、3年連続で過去最少を更新しました

就職内定者:6年連続で前年同期比を下回り、3年連続で過去最少を更新しました

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大卒の内定状況

就職希望者:過去30年間の推移を確認すると、令和5年3月をピークに減少傾向となりました

就職内定者: 過去30年間の推移を確認すると、令和5年3月をピークに減少傾向となりました

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2020年代に入り、物価の高騰や急激な人手不足への対応として、ベースアップを中心とした賃上げが行われてきましたが、採用活動を行っている多くの企業では、初任給水準の引上げを中心とした賃金カーブの見直し、及び社員の定着に向けた対策が急務です。

採用・定着を促進するために

これから本格的に進展する人口減少、労働力人口の減少の中、企業が成長・発展を維持するためには人材マネジメントの観点は非常に重要な経営戦略の1つと言えます。

そうした経営環境を踏まえ、広島県の中小企業ではどのような対策を講じていくべきか?

F.ハーズバーグの二要因理論(動機づけ衛生理論)から対策を検討してみます。

〇動機づけ要因

仕事に対する満足度を引き起こす要因であり、社員の要望をふまえ対策を講じる必要がある

↪ 意欲的に仕事に取り組むための環境整備や心的な満足感を喚起するための取組みが必要となります

〇衛生要因

仕事への不満を引き起こす要因であり、解消する必要がある

     ↪ 会社への愛着や定着を促す前提として給与や福利厚生面の改善、関係性の強化が必要となります

対策① 衛生要因

衛生要因の最たるものとして、賃金制度の見直しは避けて通れない問題です。

従来の横並びで大多数に寄り添った制度設計から、企業の先頭に立ち、組織をリードするトップランナーに焦点を当てた制への転換は待ったなしの状態です。

社内の優秀な人材は、市場価値も高い人材です。つまり、社外からも引く手数多な人材と言えます。経営環境の変化も激しく、競争が激化していく中で優秀な人材の確保は最重要課題です。

頑張ったものが報われる、市場価値の高い優秀な人材を確保できる賃金制度への見直しを急ぎましょう。

対策② 動機づけ要因

価値観や生活習慣が大きく変化しているなかで、企業も働き方の見直しを急がなければなりません。

時短や休日日数の増加、有給取得率の向上、フレックスタイム制度やテレワークの推進、職場の安全・快適さなど、社員のニーズに合わせた制度や体制づくりが求められていますが、現状維持を前提とした場合、対応することがコスト増に直結し、収益性を悪化させてしまうといった八方塞がりで悩まれている経営者、担当者も多いかと思います。

ワークライフバランスの改善には、時間生産性を向上させる取組みが必要となります。

労働集約的な業務を見直し、DX化を図る、収益性向上に貢献する業務へ資源を集中し、それ以外の業務はアウトソーシングを図るなど、業務の標準化や効率化を図り、時間生産性が向上した結果として、ワークライフバランスを目指していきましょう。

まずは現状把握から!

賃金制度の見直しやワークライフバランスの改善を実現するためにも、まずは現状把握から進めていきましょう。

現状を正確に把握したうえで、対策を講じなければ、笛吹けど踊らず、残念な結果となってしまいます。

提案① 賃金分析

所在地の同業他社や採用競合先と比較して、自社の賃金水準がどの程度なのか?どこに課題があるのか?

賃金制度の見直しは賃金分析からスタートさせるべきです。

当社では、無料の簡易賃金診断を提供しています。

まずは簡易診断で自社の賃金水準を正確に把握してみませんか?

また、社内・社外の視点から精密な分析を行う有料サービスもご用意しています。多面的に分析をすることで、自社の賃金課題を正確に把握し、解消するための情報を提供します。

賃金分析

例えば、広島県の賃金情勢を簡単にまとめると以下の通りです。 近年、初任給の水準は急速に上昇しています。同様に、最低賃金も急速に上昇し、昨年に引き続き、春闘での賃上げが進行中です。このような状況では、自社の賃金水準が妥当か […]

提案② エンゲージメント調査

既存社員を対象として、会社のどこに不満を感じているのか?その要因を重視しているのか?

社員のやる気を促し、定着を図るための取組みはエンゲージメント調査からスタートさせましょう。

当社では、7つの視点から21区分にわたる標準的な調査項目を用意しています。

まずはエンゲージメント調査で社員の声を正確に把握してみませんか?

また、各クライアントの要望に応じて項目や調査法の設定にも対応しています。アンケートだけでなく、ヒアリング調査による結果の深掘りなど、きめ細やかな対応で経営課題を正確に把握し、解消するための情報を提供します。

従業員エンゲージメント調査

従業員のエンゲージメントは、幸福度を超えた指標であり、企業の持続的な成長に直接関連しています。人的資本の管理では、各従業員が組織にとって最も貴重な資産と見なされ、彼らの潜在能力を最大限に活用することが求められます。 エン […]

投稿者プロフィール

猪基史
猪基史
アパレル会社勤務後、2000年、中小企業診断士資格取得と同時にコンサルタント会社に転職。営業(販促)支援、個別対応型管理者育成、業績管理制度構築・運用といった現場実戦型コンサルティングを中心に中小企業の支援を行う。その活動の中、経営者の方針=想いを実現させるためには従業員がやりがいを持って働ける環境を整備することが不可欠であると痛感し、会社と社員が共存共栄の関係を築ける「人事制度改革」に特化した中小企業支援を自らの専門領域として確立する。